有料広告オプションを利用してコンテンツをプロモーションするには予算が足りない。でもその分時間を作ることはできる。そんなスタートアップのためのコンテンツマーケティング戦略について解説します。
スタートアップでは、多くの場合、ユーザーや顧客を引きつけ、潜在的なパートナーや投資家から認知されることを目指していることでしょう。その他にも、ブランドを中心としたファンのコミュニティを築き、好循環を生み出し、その結果、さらなる利益やビジネスチャンスを生み出していきたいと考えていることと思います。
これを可能とする方法の一つが、コンテンツマーケティングです。コンテンツの配信やプロモーションのための予算を確保していない場合でも、チームで時間を作ることができれば、オーガニックリーチを最大化させることは可能です。本記事にて紹介する方法が、あなたのブランドに合ったコンテンツマーケティング戦術を選択する手助けとなることでしょう。
コンテンツマーケティングとは?
そもそもコンテンツマーケティングとは、ターゲットオーディエンスにとって価値のあるコンテンツを制作および発信することを通じて、リードを生み出し、信頼性を確立し、ブランド認知を高めることで顧客化を図るというマーケティング戦略です。
まず、あなたのコンテンツがターゲットオーディエンスにとって価値あるものでなければなりません。つまり、娯楽的、情報的、教育的、あるいはそれらの複合的なコンテンツであることを意味します。理想としては、メールやソーシャルメディアを通じて友人、家族、ビジネスコミュニティと共有したいという欲求を人々が感じるように、そのコンテンツは非常に魅力的である必要があります。ベストなコンテンツマーケティングは、この点で非常に優れているため、ウイルスのように広がっているように見えることから ”going viral” という言葉で表現されています。
効果的なコンテンツマーケティングを展開していると、ブランドが見込み客の頭に残ります。そして、製品・サービスを必要とするときには、選択肢としてそのブランドが最初に頭に浮かぶようになります。
ただ、質の高いコンテンツをオンライン上に無料で提供しても、誰もがそれに気付く訳ではありません。まずは、ターゲットオーディエンスの目に触れさせる必要があります。 そのためには、今日のスマートフォンが支配する環境では、代表的なソーシャルメディアにコンテンツを投稿する必要があるでしょう。
本記事では、ブログと動画を例にとり、コンテンツマーケティングについてお話ししていきます。
ブログコンテンツ
さて、ここでは、ほとんどのターゲットオーディエンスにとって関心の高いトピックスを複数取り入れた、質の高いブログ記事を投稿したとしましょう。
その記事を読むために、人々がブログを訪れてくれれば理想的ですね。その結果として以下のようなことが期待できます。
読者は、この素晴らしいコンテンツを誰が発信しているのかについて、関心を持つようになります。さらに、製品やサービスに関するページを訪れることになるでしょう。
読者はニュースレターへ登録します。ニュースレターが上手く機能することで、ブログへの再アクセスが生まれ、ブランドにさらに親しみをもつようになるでしょう。
- ブログ記事の最適化
理想的なオーガニックリーチを獲得するためには、ターゲットオーディエンスに対してブログ記事へのリンクを ”クリックする価値がある” と判断させなければなりません。つまり、記事内におけるすべての要素を最適化させる必要があります。
文章量 テキストコンテンツの場合、短ければ良いという訳ではありません。例えば、3時間の長編映画を観た場合でも、それが面白ければあっという間に感じることでしょう。一方、30秒のCMですら、退屈な、あるいは無関係な内容の場合には、観続けることが苦痛に感じることでしょう。質の高いコンテンツでオーディエンスのニーズに応えることに焦点を当てることで、定量化しましょう。
画像 視覚情報を重視する人にとっては、記事に関連付けられた画像がリンクをクリックするかどうかを決定する際の最も重要な要素となります。使用する画像については、端末に依って表示が異なり、非常に小さくなる場合や、一部がトリミングされてしまう場合があることに注意してください。Pexels、Pixabay、Unsplash などのサービスでは、無料で写真を使用することができます。ただしその際には、写真家のクレジットを必ず含めるようにしましょう。 また、画像のALTタグには、写真に表示されているものを説明するキーワードを必ず入力しましょう。そうすることによって、画像検索からも記事を見つけることができます。
タイトル 最も目に付くものの一つです。数を熟している執筆者は、魅力的なタイトルを決めるために、20を超えるタイトルのバリエーションを作り出す習慣があります。また、CoSchedule's (EN) のような分析ツールもあります。作成方法に拘らず、タイトルは注意深く作成したいものです。
要旨 検索結果やソーシャルメディアで共有されることを想定して、一般的なブログプラットフォームには、要旨を入力できるカスタムフィールドがあるはずです。これは、目にした人にリンクをクリックする価値があることを伝えるために、タイトルを補足する内容である必要があります。
見出し コンテンツは人のために作成されるものですが、検索エンジンのボットのためにも作成する必要があります。検索エンジンは、キーワード検索時に見出しに対して検索をかけるため、記事のセクション見出しは説明的なものにすることも考慮しましょう。
次に、ターゲットマーケットが時間を費やしているソーシャルプラットフォームを介して、コンテンツを多くの人の目に触れさせることで、オーガニックリーチを最適化するポイントについて見ていきましょう。
- 記事リンクのシェア
ブランドの顕在顧客のオンライン上での活動傾向に応じて、様々なプラットフォーム上にアカウントを持っていることと思います。各アカウントからブログ記事のリンクをシェアしましょう。ただし、一部のプラットフォーム(Instagram)では、遷移可能なリンクをシェアすることができません(詳細は後述。)
また、可能であれば、チームメンバー個人のソーシャルメディアアカウントからもシェアできると良いでしょう。
ハッシュタグ 多くのソーシャルプラットフォームでハッシュタグの使用が許可されています。しかし、注意すべき点がいくつかあります。まず第一に、無関係なハッシュタグを使用することは控えましょう。また、ハッシュタグの数と配置については各プラットフォームに応じて使い分けましょう。例えば、Twitter ではツイートの最後に2個のみ。Facebook では投稿の最後に最大5個。Instagram では最大30個まで使用できますが、投稿内ではなくコメントとして入れるのが良いでしょう。
ディスクリプション ブログ記事をシェアする際の記述についてです。単に見出しや要旨をコピペするのは控えましょう。代わりに、その記事を読ませるために短い文章でどう表現するのかを考えましょう。自身のフィードにそれが表示された時のことを想像してみてください。どのように興味を引かせますか?
位置情報 Facebook、Instagram、Twitter などでは、投稿する際に位置情報をタグ付けすることができます。つまり、もし仮にカリフォルニア州サンフランシスコをタグ付けすると、その地域に関心のある人々が検索した場合に、その投稿を表示させることができます。
- 記事の転載
前項で触れた、ブランドの公式ブログにオリジナル記事を投稿しリンクをシェアするという方法は、実は理想的ではありません。まず、ユーザーは一般的に使用中のアプリから離脱したくありません。また、プラットフォーム運営者はユーザーがプラットフォーム内に留まることを望んでいるため、フィードに表示されるアルゴリズムは、オリジナルコンテンツを好む傾向にあります。
したがって、記事リンクのシェアに加えて、他の戦略についても考慮する必要があります。
プラットフォーム上に記事を転載する 例えば、Facebook 上では、ノート機能を利用して記事を転載しましょう。ただし、必ず転載元へのリンクを記載するようにしてください(オーガニックリーチに影響します。)LinkedIn の場合は、個人アカウントとなりますがブログ機能がありますので、そちらを利用しましょう。Medium 上で記事をシェアするのも良いでしょう。 リンクのシェアとブログ機能の両方を備えたプラットフォーム(Facebook、LinkedIn など)では、リンクをシェアした後、記事の転載には1週間程度間隔を空けるようにしましょう。また、アレンジを加えて別の記述とすることも検討しましょう。そうすることで、フォロワーに不快感を与えることを避けつつ、最初のリンクシェアを見逃したユーザーに対して再度リーチすることが可能となります。
記事の要約を投稿する Instagram などの一部のプラットフォームでは、ブログ機能やリンクのシェアは許可されていませんが、ブログ記事を要約して投稿することができる場合があります。例えば、Instagram の場合は、最大2,200文字まで投稿することができます。Twitter では、関連する写真とともに記事の引用文を投稿できます。
動画コンテンツ
一部のソーシャルプラットフォームのニュースフィードは、動画コンテンツを好む傾向があると言われています。しかし、高品質の動画を制作するには、より多くの技術と時間が必要となります。そのため、ターゲットとする視聴者が価値を見出すものを作ることができない場合は、取り組むべきではありません。
さて、動画コンテンツに取り組む際には、イメージに合う動画コンテンツを配信している YouTuber などの動画作成方法を調べることに時間をかけましょう。また、オフィスの会議室などをちょっとした仮設スタジオとして利用できるかどうかも検討すべきでしょう。
動画コンテンツにおいて最も重要な要素は、音質とフォーカスです。音質が悪ければ、聞いてもらえません。また、メインコンテンツまでの導入が冗長だったり、セクション間に長い間があったりすると、ユーザーは離脱してしまいます。中断、休止、乱れがある部分は編集しましょう。これらの点に十分注意すれば、映像がそこそこでも、視聴者は許容してくれます。
また、コンテンツの内容が主にトークなのであれば、音源をリッピングし、それをPodcastとして配信することを検討してもよいでしょう。Anchor.fm などのツールを利用すれば、複数のプラットフォームで配信することができます。
- ストリーミング
同様に、多くのプラットフォームではライブストリーミングを推奨しており、実際ストリーミング配信はより多くのフォローワー獲得に繋がります。また、ウェブサイトやブログにアクセスするように人々に直接促すこともできます。しかし、ライブストリーミングは、リアルタイムで視聴するに値する内容を提供できる場合にのみ価値があります。
配信後は、アーカイブから必要部分を分割抽出して編集を施し、種々のプラットフォームを介して発信することもできます。
- カジュアルコンテンツ
オンラインメディアにおいては、長期に渡ってログが残るため、美術館を修復することと同じように、投稿には細心の注意を払う必要があります。一方、最近では一定時間で消去されるカジュアルコンテンツが勢いを増しています。
SnapChatは、24時間後に自動的に消去される「ストーリー」のフォーマットを開発しました。こちらはスマホでのコンテンツを想定して縦長のフォーマットとなっています。
そして、その他のプラットフォーム(Instagram、Facebook、YouTube など)でも、このストーリー機能は取り入れられています。また、LinkedIn は、このフォーマットの試験を行っています。
ストーリーは、現場で起きていることを瞬間的にシェアする場合に理想的な方法です。 ただし、スタッフの顔や、書類および画面の内容を公開したくない場合には、投稿前に動画をマンガ風に変換できる「Visionn」などのアプリを使用すると良いでしょう。
さらに、アカウントのアイコンをニュースフィードのトップに保つために、少なくとも1日に1つはストーリーを投稿しましょう。投稿できるものがない場合は、各ユーザーに適した画像をフリー素材サイトで探し、利用するのも良いでしょう。もちろん縦長サイズの画像を検索しましょう。
まとめ
オーガニックコンテンツを最適化することで得られるスキルは非常に貴重です。成功することで最終的にコンテンツのプロモーション費用を確保できれば、そのポテンシャルを最大限に引き出し、より良い結果を得ることができます。重要なことは、まずスタートし、やりながら学んでいくこと。また、同じフィールドで活躍するトッププレーヤーを観察し、学び続けることです。
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- Cover photo by John Schnobrich from Unsplash
- Original by DLKR published on Xtra.Global (English)
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